ご報告

2020年度コンテンツツーリズム学会 シンポジウムのご報告

去る、2020年7月5日(日)14:30より「ポストコロナのコンテンツツーリズム」と題しまして、コンテンツツーリズム学会シンポジウムを開催いたしました。
「ポストコロナのコンテンツツーリズム」をテーマに3名のパネリストにより活発な議論が行われました。
本年は、新型コロナ感染症対策として、例年より1月遅れ、またウェビナー形式での開催となりましたが、約40人にご参加いただき、質疑応答も含め、盛況のうちに幕を閉じました。
開催概要は以下のとおりです。

シンポジウム次第:
「ポストコロナのコンテンツツーリズム」
14:30 開会挨拶
増淵敏之(コンテンツツーリズム学会会長/法政大学大学院教授)
14:45 パネルディスカッション
パネリスト
増淵敏之(コンテンツツーリズム学会会長/法政大学大学院教授)
中村忠司(コンテンツツーリズム学会理事/東京経済大学教授)
清水麻帆(コンテンツツーリズム学会理事/文教大学准教授)
コーディネーター
安田亘宏(コンテンツツーリズム学会副会長/開発創造研究所 フェロー・主席研究員)
16:00 閉会挨拶
溝尾良隆(コンテンツツーリズム学会名誉会長/立教大学名誉教授)

溝尾良隆名誉会長によるコメントは、以下のとおりです。

 三人のパネリスト、司会の安田さん、ありがとうございました。
コロナウイルスで、ホームステイが長くなり、映画を見る時間が長くなり、これがアニメを始めとするコンテンツツーリズムに与える影響が指摘されましたが、確かにでてくるでしょう。ふだん、映画を見る時間がなかった私が、毎日見て、さまざまな発見をしています。「オンライン・ツアー」、「オンライン・宿泊」がどのような変化を生み出すか、今後注目をしましょう。

政府やマスコミは、インバウンドがほとんどゼロになって、日本の経済や地域経済、宿泊施設に与えた影響が大きいと報道しています。局部的にはおおきな影響を受けているのは事実です。しかし、マクロに見ると、主要旅行業者49社では、インバウンドの取扱額はわずか5%です。日本の旅行会社は、ランドオペレーター(地上手配)になるので、インバウンド旅行者の一部を扱っているだけです。外国相手のめんどうなインバウンドを扱いたくないのも事実です。国にとっては外貨獲得になるので、インバウンド重視をするのは分かります。

一方で、同じように生じているアウトバウンド(海外旅行)の減少が伝えられていない。旅行業者の取扱額で35%を占めているのです。海外旅行のストップは非常に大きい。留学専門業者は扱いがゼロになってしまった。このあたりの話が出なかった。それに島国日本は、周辺に外国人いるのがあたりまえでない。外国人の異文化理解ができにくい国民である。もっと若者が海外へ出かける政策を打ち出すことが必要である。これらの点からも、海外観光旅行ゼロの状況を政府は憂えなければいけない。

国内旅行は早い段階で復活する、あるいは「Go to キャンペーン」に期待する動きもある。最近、マイクロツーリズム という新しい話がでてきた。広域の移動に制約があるので、「近間の人を対象にしよう」という動きである。私の住む埼玉県の人口は約735万人である。県民が県内を動けば、大変な数の旅行者になる。県民が県内を再発見するのにも、よい方向である。

質問者も含めて、「団体旅行は終わった」という話が出た。バス旅行が、三密で全くダメになった。バスを定員の半分で動かせば、一人当たり料金は2倍になるので、バス旅行はしたくない。いまどき、地域から団体で動けば白い目でみられる。バス会社は大打撃である。団体旅行は減ったのはたしかだが、地元経済には、団体旅行が一番消費は大きく、効果がある。その代表が修学旅行。沖縄への修学旅行が復活してない。旅行会社、航空会社、地元の観光会社、すべてに大きな影響を与えている。

九州で大水害が起きている。地球の温暖化の影響を受けて、世界各地で台風や大雨が多くなっている。日本の地形は、水源から河口までの距離が短く、傾斜が急で「これは川でなく滝だ」と、日本の砂防や治水を体系づけたデ・レーケといったように、大雨による水害が多い。さらに日本は火山や湖、温泉に恵まれているが、その分、地震大国になっている。それに今般の世界的なコロナウイルス。さまざま被害が日本を含め世界に広がっている。こういう時代に日本は直面している。

コンテンツツーリズムに関するまとめはありませんが、今回のコロナウイルスの終焉にはほど遠いが、この間に、どのような形で、日本の産業や日本人、外国人の行動を変えていくのか、私たちは健康を保ちつつ、その変化を注視していきたいと思います。

なおシンポジウムに先立ち、総会が開催され、議案書により提案通り了承されましたので、併せてご報告いたします。

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